実際に労災事故に遭遇してしまったら・・・すぐに組合まで

どんなに注意していても労災事故は起こってしまいます。
中でも建設業の労災事故は重篤な場合が多くあります。
また、40年前に現場で吸い込んだ石綿や粉じんの影響が
今になって出てくる場合もあります。
 
●労災事故が起こった場合に一番問題となることは、その事故が
  労働災害と認定され保険の適用がされるかどうかということです。

※一口に労災保険と言っていますが、正式名称は「労働者災害補償保険」であり、労働者を守る保険です。しかし、中小事業主
 や家族従業員、一人親方は現場に出て労働者と同様に働く方がほとんどであり、この保険に特別に加入できる制度のことを
 「特別加入(事業主・一人親方)」と言い、俗に事業主特別加入とか一人親方労災と呼んでいます。

★国(厚生労働省)が病院の医療費と休業・後遺症を補償します
労災認定の条件 特に注意する点
@ 事業主の指揮管理命令
で働く労働者であること
賃金台帳や労働者名簿で管理され、給料を支払われて
いる方やアルバイト(建前時の日当手伝い等も可)
A 事業主や家族従業員で
※特別加入していること
但し、家族従業員でも、他に従業員がいる場合で、その
方と全く同じ条件で従事している場合は労働者となる
B 法人事業所の役員で
※特別加入していること
登記簿謄本に記載されている役員(取締役等)
C 一人親方で
※特別加入していること
労働者を持たず、一人で請負の仕事をされている方

※労働者以外が特別加入していない場合、労災保険は適用されません。また、特別加入者の労災認定は労働者より条件が
 厳しいものになっています。(例えば、休日や早朝での労災事故や労働者を使っていなかった現場での事故等、通常の労働
 者と同様の条件が当てはめにくい場合)
※但し、仮に労災認定されなかった場合でも、
特別加入者であれば、建設国保を使用(切り替え)することができます。

石綿(アスベスト)のばく露による労災(健康)被害はこれから

1960〜70年代の建材に使われていた、魔法の鉱物 「石綿(アスベスト)」。

この吸引による健康被害が、30〜40年潜伏期間をおいて、これから増加して
くると言われています。

魔法の鉱物と呼ばれていただけに、非常に丈夫なもので、髪の毛の5千分の1
の太さでも、腐らない、切れない、熱に強い、素材なのです。

その特性から吸引した場合に肺にささり、長い時間を掛けて肺にダメージを与え
ます。石綿を吸った量や、吸った期間に関係なく肺疾患を発生させると言われて
います。

石綿のついた作業服を洗濯していた奥さんや、石綿を使っていた工場に遊びに
行ったお子さんまでも発症してしまった例が報告されています。


石綿との関係がある5疾病とその内容は以下のとおりです
病 名 内容と労災認定基準について
石綿肺
(アスベスト肺)
肺が繊維化する「じん肺」という病気のひとつ。石綿に限らず粉じん吸引することにより発生
する。石綿の吸引が原因による肺繊維症を「石綿肺」と呼んで区別。石綿曝露10年以上の
労働者に起こり、潜伏期間は15〜20年。じん肺管理区分の決定がなされ労災か判断。
肺がん 潜伏期間が15〜40年程度と長く、累積曝露量が多いほど肺がんになる危険性が高い。
また、石綿と喫煙の両方の曝露を受けると、肺がんの危険性は相乗的に高くなり、石綿吸引
も喫煙もしない人の50倍との報告もある。石綿以外に多くの原因があり判定が難しい。
※1
中皮腫 中皮腫のほとんどは、石綿曝露に関与している。潜伏期間は20〜50年。特効薬として
アリムタが新薬として認可されたが、標準的な治療法は無く、非常に予後の悪い疾患。
中皮腫の確定診断等がなされていれば、医学的所見はなくても労災認定の基準。
良性
石綿胸水
胸腔内に体液が貯留することであり、石綿以外の様々な原因によっても生じる。特に、石綿
粉じんを吸入ことによって、胸腔内に胸膜炎による胸水が生じる場合を良性石綿胸水という。
潜伏期間は平均12〜30年と他の疾患より短い。労災認定は厚生労働本省協議。
びまん性
胸膜肥厚
臓側胸膜(肺を覆う膜)の慢性炎症により繊維状に肥厚した状態であり、通常は壁側胸膜
(胸壁を覆う膜)にも病変が及んで両者が癒着していることが多く見られる。比較的高濃度の
石綿の累積曝露により発症する。石綿曝露3年未満は厚生労働本省協議。
※2
※1:肺がんの労災認定基準
@第1型以上の石綿肺
A胸膜プラーク(胸膜肥厚斑)+石綿曝露作業10年以上
B石綿小体又は石綿繊維+石綿曝露作業10年以上
  ※2:びまん性胸膜肥厚の労災認定基準
@<肥厚の厚さ>最も厚いところが5mm以上で<広がり>側胸壁の1/2
 以上(片側のみ肥厚がある場合)か側胸壁の1/4以上(両側に肥厚
 がある場合)+A著しい肺機能障害+B石綿曝露作業3年以上

★石綿に関する健康管理手帳交付申請について
石綿を製造し、又は取り扱う業務に従事して、健康
診断等の結果、両肺野に石綿による不整形陰影が
あり、又は石綿による胸膜肥厚がある方は、離職の
際、又は離職の後に長野県労働基準局長に申請し、
審査を経た上で「健康管理手帳」が交付されます。
「健康管理手帳」の交付を受けると指定された医療
機関で、定められた項目による健康診断を決まった
時期に年2回、無料で受けることができます。

【組合経由で交付された手帳】


今は症状がでていなくても健康管理をしっかりしておくことが重要です。
万が一、発症しても、手帳交付者は労災認定がスムーズになると予想されます。
飯下建設では石綿検診を
健康診断時であれば1,080円追加で受診できます。
その結果、要精密検査だった場合でも、
健和会病院さんのご協力をいただき、
精密なCT検査の受診をお勧めしています。(約6,000円)

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