7月20~21日にかけ、研修旅行(地域調査)があり、新潟県へ行きました。今年の特徴は、観光施設の見学も行いましたが、鉋など刃物を作っている作業場にお邪魔し、直接職人さんからお話をうかがったり、地域で活躍している大工棟梁の現場や作業場にお邪魔し、良い刺激を受けた2日間でした。
7月20日(日)
○旧長谷川家住宅
新潟県長岡市で最初の見学場所である、旧長谷川家住宅に到着。ボランティアガイドの案内により、当時、豪農として知られた邸内は、かなり広く、50分の見学時間ではなかなか詳しくは見られないほどでした。それでも、受講生のみなさんはガイドさんや講師の話に耳を傾け、メモを取っていました。
○船弘刃物製作所
大工がいつもお世話になっている鉋などを作っている作業場にお邪魔しました。特にこの地域は、昔から鍛冶屋さんとして有名な地域でしたが、後継者不足もあり、職人さんもだいぶ減ってきているとのことでした。そんな中で、実際に鉋の刃造りの実演を見た受講生からは「滅多に見られない作業に感動した」という声がありました。
○種月寺
南英謙宗が文安3(1446)年に創建した種月寺は、かつては越後における曹洞宗の四大道場(耕雲寺・雲洞庵・慈光寺・種月寺)の一つに数えられました。現在の本堂は、出雲崎の大工・小黒甚七が棟梁となって、元禄12年(1699)に建立された大規模なものです。屋根は寄棟造りとなっています。本堂で住職のお話をお聞きしました。
○新築住宅の現場
地元の工務店「ダイアン建築」さんの現場にお邪魔しました。竣工間近の現場でしたが、ちょうな仕上げなど、特徴的な場面も見られました。受講生は、疑問に思ったことなどを質問していました。2軒目は、すでに竣工した住宅でした。南側の格子壁が特徴的なお宅でした。
7月21日(月)
○斑鳩建築作業場~ゲストハウス、こまくさ保育園、越後森林館
新発田市にある斑鳩建築さんの作業場では、広大な敷地に数棟の加工場が存在していました。中では、丸太が、やりがんな、ちょうななどを使って様々な加工を施されている途中でした。その後、斑鳩建築の小川正樹棟梁による丸太加工の実演がされました。
斑鳩建築さんの作業場を後にして、次に向かったのは、斑鳩建築さん施工のゲストハウス、こまくさ保育園、越後森林館の各施設。この各施設の設計に携わった地元の設計者、村尾欣一氏の案内で、各会場を見学させていただきました。斑鳩建築の小川正樹棟梁と村尾氏とは、訓練校時代の生徒と講師の関係で、その時からの付き合いだそうです。訓練校時代の小川棟梁のお話もお聞きしながら、各施設の解説お聞きしました。特に、越後森林館の多目的ホールは合成トラスにより、金物を一切使わずに丸太を組んであり、その仕事に受講生はしばし言葉を失っていました。
○旧笹川家住宅
笹川家は、安土桃山時代から昭和45年に離れるまで、14代300年以上にわたって続いた新潟市の名家の一つです。旧笹川家住宅は、日本でも有数の規模を持つ、近世後期の大庄屋の住宅です。前庭の眺望、威厳のある表座敷など地域の農業の発展に貢献しました。当日は、ガイドさんの案内により、広大な敷地に建つ旧笹川家住宅を見学しました。当時の豪農の邸宅とあって、見学時間を最大限に使い、笹川家の歴史を学びながら、当時の建築技術のすごさに圧倒される場面が何度もありました。
この2日間の研修旅行では、各方面の方々に大変お世話になりました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
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8月23日の授業「伝統建築の研究」・「木架構の推移」