午前中は、長野市善光寺門前町を拠点に事業展開している不動産・建築設計施工の(株)マイルーム社長倉石智典氏を講師に招いて「空き家ビジネス」について学びました。
倉石講師は、街中の空き家や店舗などを仲介して、入居者が自分好みに作り替えるリノベーション(改修)する取組みを通じ、街の活性化をしています。希望者とマッチングさせるため、毎月「空き家見学会」と題し、街歩きをしながら、空き家を案内している事例が紹介されました。また、大家さんにも物件を改修することで資産価値が上がるということを提案しているという説明もありました。「受講生の中にも、情報がいくつか入ってくるのではないかと思うので、自分の仕事に繋げるよう情報を活かして欲しい」というお話があり、大変参考になる授業でした。
午後は、富山県高岡市にある重要文化財「勝興寺」の”平成の大修理”の工事棟梁を務められている宮大工田中健太郎氏による第25回公開講座「大工の生き方」の授業でした。
田中棟梁は、「大工の家系だったのでなるべくしてなったが、道なかばで大工をやめる訳にいかないと、一生懸命、自分の仕事として真摯な態度でやっている」と自己紹介を兼ねたお話がありました。
受講生に対しては、「人と同じではだめで、人まねはしない。”あの仕事はあの人でなければ”と言われるよう人と違うものをもって、心のこもった仕事をしてください。評価は二百年後です。」とエールをいただきました。
後半は、勝興寺本堂の改修工事の概要説明がありました。その改修工事では、「曲った継木や垂木は檀家や賛同いただいた皆さんからの寄品であるという配慮が必要であること」、「大工職人の技量には遊び心も必要である」ということが先人の仕事ぶりから学び取れたと解説がありました。また、鎌倉時代の”ノミ”や”ノミ痕”が解体修理で発見されたことから、お弟子さん二人の打ち割の実演もあり、受講生も実演に参加し、貴重な体験をさせていただきました。
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10月25日の授業「1級実技試験練習2・3」